第2章 木兎夢
『どうぞどうぞ、ってか早く早く!俺の部屋行こーぜ!』
と、待ちきれないという様子で手を引いて、部屋に通される。
「ちょ、私、まだご挨拶してないんだけど」
『あ、うち共働きだから、今俺以外誰もいねーよ??』
あ、そうなんだ。
ほっと安心した半面、木兎と2人きりという事にちょっと緊張する。
木兎の部屋は、思ったよりシンプルだった。
というか、単純に物が少ない。
『あんまそういうの気にしない!』
ああ、成程、木兎らしい。
そう思っていると手を引かれ、ベッドに座らせられた。
『ソファーが無いから、ベッドに座っとけ!床は冷たいからな!』
そう言って、笑う木兎。
ベッドに座って、昼練の話を聞いた。
『赤葦もさ、今日は帰って休めってさー!』
納得がいかない表情で話す。
「でも、足、思ったより軽そうで良かった。腫れてたりしたらどうしようって心配したよ」
そう言って足に触れる。
テーピングをしているのが痛々しいけど、本人は至って平気そうだ。
テーピングした足をさすっていると、うずうずと何やら落ち着きが無くなってきた木兎。
「ど、どうしたの・・・」
言い終わる前に
『加菜ー!!』
と名前を呼びながら抱きしめて来た。
と同時に、勢い余って私はそのまま後ろに倒れ込んでしまった。
ふと顔を見上げると、木兎と視線が合う。
ニシシと口元が歪んでいる。
何か企んでいる、いたずらっ子の顔。
それを見て、緊張で自分の顔が引きつった。
直後、木兎がキスで口を塞いだ。
「んんっ」
声が漏れる。
そのまま舌を入れ、歯列をなぞってくる。
むさぼる様なキスが続く。
少ししてからやっと唇を離してくれた。
はぁはぁと、呼吸を整える木兎と私。
そして少しの沈黙の後
『なぁ加菜、いま誰もいねーしさ』
そう言って、有無を言わさず太ももをさすってくる。
「ちょ、木兎」
『もう我慢出来ねぇ』
そう言って再度キスをして来た。
ぐいぐいとこちらを押して来る唇に、頭がベッドに埋もれて行く。
力が強い。
さすが、バレー部エース。
改めて感じる、木兎の体。
背が高く、がっしりとした体幹。
改めて異性だと意識してしまい、体に力が入る。
それに気が付いた木兎
『やべぇ、可愛い』
そう呟きながら、舌で口内を犯し続ける。