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まだ名前を知らない天使

第1章 和やかっ子。


「ロー!ようやく外でてきたんだー!!」
「あ?」
「ハイ、これ。ハーブティー!」
「は?」
「ここの所ずーっと部屋に篭って医学書ばーっかり読んでたでしょう?肩もこるし、頭ギューッてなるし、目もショボショボするし、疲れてるんじゃないかなー、って思って。ローの為に調合したよ、私のオリジナル!!」
「お前・・・」
「ずっと、待ってたんだよ?」
「・・・そうか。」
「部屋に、行っても・・・いい?」



突然何がどうした?
さっきまでアイツらと楽しそうにしていたセシリアが、ちょっと見ないと思ったら、わざわざ俺の為に?それから今なんて言った?俺の部屋に来る?
そんなの、決まってるじゃねぇか。



「あぁ、構わねぇ。ほら、行くぞ。」
「わーい!!2人きりのお茶会だね!」



コイツは全く・・・。
言われて嬉しい言葉ばかり言いやがる。



「お前、そんなに誰にでも優しく振舞っていて、疲れねぇのか?」
「え、そうなの?」
「何がだ?」
「私、別に普通にしてるだけだよ?疲れるワケないじゃない。ローって変なこと言うんだね(笑)」



自覚ナシ、か。
タチの悪い天使がいたもんだ。



「あーあぁ、こんなに散らかって。」
「コン詰めすぎた。片付けるのが億劫でな。」
「じゃぁ、片付けよー!一緒に、2人で!」
「・・・・・・ああ。」




俺は知っている。
いつだってどこまでも優しいセシリアが1番嬉しそうな顔をする瞬間。





── それは自覚のない天使が俺に優しい笑顔を向ける時 ──







(あー、バラバラにされるかと思ったぜ。)

(でもよ、セシリアが1番優しく世話焼くのって・・・)



(( キャプテンだよな。))



(セシリアってニブいんだな。)

(あれじゃーキャプテンも大変だろう。)
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