第1章 始まり
*トキヤ視点*
放課後、私はいつものように第二音楽室に向かった。
(少し、早いですね……)
時計を見ると、部活が始まるまであと15分ほど時間があった。
~♪
すると、まだ誰もいないはずの音楽室から、綺麗な音色が聴こえた。
(一体、誰が……?)
防音の音楽室なのに聴こえる、ということは、ドアの閉め忘れ。
しかし、部活の関係者なら、必ず閉めるはず。
(……ということならば…………)
私はそっと開いているドアから部屋の中を覗いてみた。
(やはり、そうでしたか……)
ピアノを奏でていたのは、部活の関係者ではなかった。
(なぜ、ここに……?
見覚えのない方ですね……。
しかし…………)
彼女の奏でる音色は素晴らしいものだった。
……どこか優しくて、…………どこか切ないような音色。
私は夢中になっていた。
すると、その音色の中に綺麗な歌声が響いてきた。