第1章 始まり
*優姫視点*
『なぁ、優姫。
俺がいなくなったとしても、
お前はずっと笑っていろよ』
彼が遠ざかっていく。
彼はなんだか切ない表情でこっちを見ている。
『いや、いかないで!!
いかないでよ!!』
どれだけ追いかけても、君の手をつかむことができない。
『____…………っ 』
私は彼の名前を叫んだ。
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「いかないでっ!」
しかし、手を伸ばした先に見えたのは自分の部屋。
「はぁっ、はぁっ…………夢か」
私は一気に夢の世界から現実の世界に引き戻された。
額にはたくさんの汗が浮かんでいる。
……また、あの夢を見てしまった。
大好きだった、あの人の夢を。
ふと、我にかえる。
「って、ヤバっっ!!
今日から学校じゃん!!!」
私は跳び跳ねるように起き上がった。