第2章 君の優しさ
*トキヤ視点*
皆さんの視線が私に向けられる。
きっと、私が手を挙げたからでしょう。
嶺二「あれ、トッキー出るの??」
トキヤ「はい。
チーム部門だと、私自身の力が発揮出来ないので。
……そして、清水さん。」
私は清水さんに近づいていった。
「え?な、何?」
そして、彼女の瞳をしっかり見据えて、
トキヤ「私の、私だけの曲を、作ってはくれませんか?」
と、伝えた。
すると、彼女は少し驚いたような表情で
「わ、私でいいの?」
と、返してきた。
トキヤ「はい。あなたがいいのです。」
……そう、彼女がいい。
他にも、七海さんや、美風さんがいる。
ましてや、美風さんは去年、コンテストで賞をとったらしいので、普通だったら美風さんに頼むだろう。
(それでも、彼女を選んだのは…………)
トキヤ「私はあなたの曲に惹かれたのです。だからどうか、私の曲を作ってくださいませんか?」
彼女の奏でる旋律。
それは、私の心にスッと入っていくようで、何だか落ち着いてくる。
きっと彼女の作る曲こそ、私の力を一番に発揮出来るものだと、
そう思って彼女を選んだ。
すると、彼女は優しく微笑み、
「はい!喜んで!」
と答えてくれた。
私は、その私に向けられた彼女の笑顔に、心が熱くなるのを感じた。
トキヤ「ありがとうございます。
これからよろしくお願いしますね。」
と、私が微笑むと、
彼女は少し、頬を赤く染めた。