第9章 一押し二金三男 \❤︎/
「晋助様、ありがとうございます。…やっぱり大好きです」
「……フン」
いつもと変わらない反応にとても安心して、少しだけぎゅっと握る手に力を込めた。
「晋助様のワガママも訊きますよ。晋助様もわたしにたくさんワガママ言ってください」
「…なんでも聞いてくれんのか?」
「はいっ!」
勢いでそう言った瞬間に少し後悔した。
何せ、この顔はいつもの何かを企んでいる顔だ。
「なら、戻ったら抱かせろよ」
「っ!?!?」
「なんでも言うこと訊いてくれんだろ?」
「なんでもってそういうことではありません!」
「お前のその姿見たら我慢なんざできねェな」
「〜〜〜!!!」
「さっさと行くぞ。夜が楽しみだ」
ニヤリと高杉は笑うと、身を翻して編笠を深く被った。
ちょっとだけ納得がいかないまま高杉に引っ張られるかたちで付いていく。
これではいつもと変わらない気がするが、それが高杉のワガママなら断る理由はないし訊いてあげたい。
「満更でもねえ顔してるじゃねえか」
「っ……///」
心の片隅にあった図星をつかれて、凛はサッと顔を赤くした。