第9章 一押し二金三男 \❤︎/
「…え?」
「あなたへプレゼントをするために…ってもしかしてまだ知らないの?」
雅は高杉に視線を送ると、高杉は軽く舌打ちをした。
「もう全く……」
「…え?どういうことですか?」
舌打ちをする高杉を見て雅も深いため息をついた。
そして困ったように言う。
「…わたしね、ここで商人をやってるの。この着物を買い付けてきたのもわたしよ」
「……はい、」
「今回は高杉さんに頼まれてこれだけ集めてきた。それは何でだか分かる?」
「え……」
戸惑いながらも精一杯に思考を働かせて考える。
今回、これだけ着物を集めたのは何のためか。
「…何で、でしょうか…」
「…テメェの為だ」
いきなりの低い声に驚いて、凛はビクッと体を震わせた。
「えっ、」
「全部お前の為だ」
「………」
「…これで分かったでしょう?何で高杉さんが最近町へ出掛けていたのか」
雅は少し困ったように笑った。
けれどその顔はどこか楽しそうで。
「…コイツを選ぶのに必死だった。吉野とはお前が思ってるような関係じゃねえよ」
「高杉さんたら、格好つけようとするから凛さんに勘違いされちゃうのよ」
「……え」
要するに雅は商人で、高杉は雅から着物を買うために毎日通っていた…?
「高杉さん、ずっと必死で朝から晩まで着物選んでるのよ。凛に一番似合うのを探すんだーって。そりゃあ帰るのも遅くなるし勘違いされるはずよね」
「オイ吉野、それ以上言うんじゃねェ」
実に面白そうに雅はケラケラと笑って見せた。
それに苛ついたのか、恥ずかしいのか、高杉は鋭い目つきで雅を睨みつけた。だが雅にとってはそれすらも面白いようでさらにクスクスと笑う。