第8章 あわよくば \❤︎/
そのあと部屋に戻っても、この胸のモヤモヤはとれなかった。
あの女の人は誰なんだろう。
なんで二人で歩いてたんだろう。
そんなことばかりが頭に浮かぶ。
…わたしはどうしてしまったのでしょうか。
こんな気持ち初めてで、よく分かりません。
いつもは高杉の顔ばかりが浮かんで、会いたいと思うはずなのに今日ばかりはあまり高杉に会いたくない。
顔を合わせた時にうまく笑えるか不安だった。
ただ、高杉が女の人と一緒にいただけだ。
別に、普通のことなのにこんなにも心がモヤモヤする。
それは一体なぜなのだろう。
高杉のことを思い出せば同時に脳裏に焼き付いたあの女の人の幸せそうな顔が頭に浮かんで、心が張り裂けそうだった。
会いたいのに、会いたくない。
気がつけば涙が溢れ出して止まらなかった。
そして幸か不幸か、その日高杉は夜遅くまで艦に戻ってくることはなかった。