第8章 あわよくば \❤︎/
「………晋助様………?」
まるで足に重りを乗せられたかのように全く動かない。
遠く軒下にいるが分かる。
あれはきっと、
「凛!何やってるスか!」
「………っ!」
何も考えられなくなって、その場に立ち尽くしていると前から聞こえるまた子の声で我に返った。
見るとまた子と万斉と武市は不思議そうにこちらを見ている。
それに気づいて三人の元へと駆け出した。
「どうかしたッスか?」
「…い、いえ、なんでもありません…」
「…凛ってたまに変人ッスよね〜」
「そう、ですか?」
「そッス!不思議ちゃんていうか。まあ早く帰るッスよ!」
石のように重い足をなんとか動かして歩き出す。
なんなのだろう、このモヤモヤは。
遠目からだったが分かる。
女の人の隣にいたのは、
あの男の人は、
間違いなく高杉だった。