第5章 いいものですね。
急いで来てみると、もう既に店の前には何人か並んでいて、店の外観は可愛らしく如何にも女向けという感じだった。
とりあえず最後尾に並んで様子を見ると、並んでいるのはほとんどが女の人だ。男はいない…そう思っていると、
「…あれ、もしかして…」
また子が指さした先にいたのは見覚えのある、銀髪の侍だった。
「…白夜叉!」
銀髪の男は死んだ魚のような目に、脇には木刀を携えていた。
その侍は唯一女だらけの中に一人混ざって並んでいた。
「クソッ…なんで白夜叉がこんなところにいるっスか!せっかくここまで来たのに!」
拳を握りしめて悔しそうな顔をするまた子に凛は言った。
「…バレないようにすれば大丈夫じゃないですか?」
「……そっスね」
そんなことを話している間に銀髪の男の順番が来たのか、女の店員らしき人に呼ばれ男は店内に入っていった。
さらにしばらく待つと二人の順番が訪れ、また子と凛は席に通された。