第5章 いいものですね。
今日は晴天。
久しく江戸の町へ来た。
また子さんと一緒に。
「凛!早く来るっス!」
「また子さん、待ってください!」
久々に来る江戸にまた子もワクワクしているのか、足取りが軽い。もちろん、それは凛もだった。
鬼兵隊の艦に乗っていられるのは嬉しいけれど、高杉は艦を空けることも多い。また子も万斉も武市も、阿伏兎も神威も忙しいようで何かと話したりできる時間は少ない。
だから毎日がタイクツで、こうして江戸の町に出てこられるのはとても嬉しいことだった。
「また子さん、どこへ行くんですか?」
何故かまた子は急いでいるようで、凛はそれに追いつくようにせっせと歩いた。早歩きで江戸の町を歩いきながらまた子に問うと、
「新しく江戸にできたっていう甘味処に行くんス!」
「甘味処?」
確か、前に雑誌で見た。
どこからかまた子が持ってきた雑誌には『江戸の甘味処特集』として、今江戸で人気だという甘味がたくさん載っていた。
きっとそこに向かっているのだろう。
「凛も甘いもの好きっスよね?」
「はい!大好きです!」
「じゃあ急ぐっスよ!」
また子に手を引っ張られて、凛は先を急いだ。