第33章 おかえり
「久しぶりだな」
「お久しぶりです!どうぞ!」
桂とエリザベスを部屋に上げると、いつもとは違って大層賑やかだ。
ずっとこの家で一人で生活していたからか、この賑やかさかなんだか嬉しかった。
桂も菓子折りをくれて、礼を言うと凛はまた台所へ立った。
全員分のお茶を入れて、万事屋と桂からいただいた菓子折りと戸棚にしまってあった大福を出す。
「どうぞ」
「ありがとうございます」
「ヅラのも凛のもおいしそうネ!」
「ヅラじゃない、桂だリーダー」
「で?高杉はいつ帰ってくんだ?」
銀時の問いに、皆が凛を見た。
「えっと…午後には帰ると言っていたのですが…」
午後には帰る、そう言われたきり正確な時間は聞いていない。
「高杉は知らねーんだろ?俺達が来てること」
「はい、言ってないので知らないはずです」
そう。
今日ここに5人が来ていることは高杉は知らない。
みんな久しぶりの高杉に会うため、サプライズで集まってくれていたのだ。
「なら、気長に待とうぜ」
銀時にそう言われ、凛は頷いた。
それからみんなでお菓子を食べながら他愛もない会話をして、宇野をしたりして過ごした。
この日常があまりにも平和で楽しくて、今まであったことが全て嘘みたいに思える。
そんなことをしみじみ考えていると、いきなり玄関の扉が開く音がして凛はすぐさま立ち上がった。
帰ってきた。
そう思って玄関に駆け寄った。
「…凛」
「…っ」
そこに立っていたのは、変わらない愛しい人の姿。
「晋助様っ…おかえりなさい!」
たまらず高杉に抱きつくと、優しく抱き締め返してくれて嬉しさで涙が溢れる。
「…ただいま」
「会いたかった…っ」