第33章 おかえり
今日は雲ひとつない晴天の日。
「わ〜いいお天気!」
窓を開けるとまだ少し冷たさを残す春の風と、おひさまの暖かさが体に染みてなんとも心地良い。
空気をたくさん吸い込むと、春のにおいで胸がいっぱいになった。
今日は大好きなあの人が帰ってくる日。
ずっとずっと会いたくて、心待ちにしていた人が帰ってくる日。
まるで天気までもがあの人の帰りを楽しみにしているかのように綺麗に晴れて、凛は笑みを浮かべた。
「やっと晋助様に会える…」
そう、今日は高杉が江戸に帰ってくる日だ。
離れて過ごすようになってから約二月。
あまり長い時間ではないが、凛にとってはこの2ヶ月間がとても長く感じられた。
それだけ大好きな人がやっと今日帰ってくるのだ。ドキドキとワクワクで昨日はあまり眠れなかったが、眠気なんて一切ない。
綺麗に部屋を掃除して、高杉がおひさまのにおいがする布団で寝られるように布団を干す。
おいしいものをたくさん食べてもらえるように買い物は昨日済ませたし、お気に入りの着物に高杉から貰った簪を刺して準備は万端だ。
ひとしきり家事を終えてようやく一息着こうと思った時だった。
玄関の扉を叩く音が聞こえて、時計を見るともう針は昼の12時をまわっていた。もうそんな時間かと思いながら玄関の扉を開くと、そこに立っていたのは坂田銀時、志村新八、神楽の3人だった。
「よォ」
「こんにちは、凛さん」
「邪魔するアル!」
「どうぞ!入ってください!」
笑顔で3人を招き入れて居間に案内すると、凛はお茶とお茶菓子を用意するために台所へ向かった。
するとまたトントンと扉を叩く音がして、開けると今度顔を出したのは桂小太郎とエリザベスだった。