第4章 コトバの紡ぎ方
♡おまけ♡
「あ、凛ちゃーん!」
歩いていたら声をかけられて、振り返るとそこには神威がいた。
「昨日は伝言ありがとう。助かったよ」
いつもと変わらずニコニコで言われて、少しドキッとしたけれどもう恐怖を感じることはなかった。
「朝、晋助に言われたよ。凛が怖がるからあんまり話しかけるんじゃねぇよってね」
神威は大きな目を高杉のようにキリッと細め、声を低くしてから言った。高杉の真似をしているのだろうか。
「別に怖がらせてるつもりはないんだけどね。」
「神威さんのこと、怖いなんて思っていませんよ」
「…ん?」
「わたしは、晋助様も神威さんも怖いなんて思っていません。」
神威に微笑みかけると、神威は不思議そうな顔をして、
「…やっぱりキミって面白いね。」
「そう、ですか?」
「うん。面白い。……お侍さんと同じ匂いがする」
神威の言っている意味が分からなくて、凛は黙って首を傾げた。
「とにかく、昨日はありがとう。これから仲良くしてね。」
またいつものようにニッコリ笑顔に戻った神威に、凛もニッコリと笑いかけた。
すると神威は手をブンブンと振って、
「じゃあまたね………あ」
突然手を振るのをやめた神威に、凛の動きも止まった。