第30章 【最終章】夢か現か \❤︎/
高杉はそう言うと凛はまた小さく笑って、二人でまたキラキラ光る海を眺めた。
「…綺麗」
空いた窓からは涼しい潮風が入ってきて、とても気持ちがいい。
海を眺める高杉の顔が見たくて、凛はさりげなく上を見上げた。
「…」
「…何だ?」
「あっ…」
見つめているとすぐに高杉と目が合って、恥ずかしくてすぐに目をそらす。
楽しそうに笑うこの顔が大好きで、またさりげなく見上げると頭に優しく手を置かれてきゅんとなる。
「…朝に晋助様と一緒にいられるのも素敵です」
「普段は夜しか一緒にいてやれねェからな」
「じゃあ、今日だけ特別に許してくださいっ」
凛はそう言うと、高杉の腕をすり抜けてくるっと後ろをむくと、高杉にぎゅっと抱きついた。
ぎゅっと力を込めると、高杉も抱きしめ返してくれて頭をなでてくる。
薄い布越しから伝わる高杉の体温があったかくて心地よくて、凛は高杉の胸に顔を埋めながら目をつぶった。
「…晋助様」
「…なんだ」
「…好きです」
「…知ってらァ」
高杉も好きだと言ってくれることを少し期待して言ってはみたが、やはり簡単には好きだと言ってくれなくてちょっぴり残念な気持ちになる。
「…凛」
「はいっ」
高杉は凛から手を離して上を向かせると短くキスをして言った。
「愛してるぜ」
「………っっ!!」
まさかのいきなりの言葉に凛は顔を真っ赤にさせて俯いた。
高杉は満足そうにニヤリと笑うと、凛の頬をむにっとつまんだ。
「ふえ、しんしゅけしゃまぁ」
頬から手を離して上を向かせると、高杉は凛を見つめた。