第30章 【最終章】夢か現か \❤︎/
そっぽを向いて高杉に背中を向けると今度は後ろからぎゅっと抱きしめられて、さりげなく手に触れた。
「悪かった。こっち向けよ」
「…もう」
向き合えば大好きな人がいて、大好きな人の腕の中で眠るなんてなんて幸せなんだろう。
そう考えると愛しさが込み上げて凛は高杉の胸に顔を埋めた。
「…晋助様あったかい…しあわせ」
思わず呟くと、高杉は笑みを浮かべて頭をなでた。
あったかくて優しくて、とっても癒される。
なんだか心がじーんときて、凛は高杉の腕の中でゆっくりと話し始めた。
「…最近、なんだか幸せすぎて泣けてくるんです。幸せすぎて苦しいなんて変ですよね」
幸せすぎて苦しいと笑う凛を、高杉は思わずまたぎゅっと抱きしめた。
「…ったく、いつまで経ってもお前にはかなわねえな」
「…だって晋助様がこうやって抱きしめてくれるから、わたしもたくさん晋助様にお返ししなきゃって思います」
自分の腕の中で幸せそうに笑う凛に、たまらずキスをした。
一度唇を離してはまた口付けて、柔らかな髪を梳けば今度は凛の方から唇をねだって抱きついてくる。
そんな姿が可愛くて、今度は素肌に映えるたくさんの赤い徴に唇を寄せてさらにもう一つ、首筋にも真っ赤な痕を残した。
「…っ、晋助様」
「…」
「…目、覚めちゃう…」
「…お前もねだってきただろ」
「…うるさいです」
凛から手を離して、布団の上に仰向けに寝転がる。
すると高杉がぽつりと呟いた。
「…何もかも忘れて、このままお前とずっと朝寝でもしててえモンだ」
「…すぐに来ますよ、そんな日が」
淡い灯りが映し出す天井を見ながら言う高杉に、凛は微笑んだ。