第30章 【最終章】夢か現か \❤︎/
「…ん」
うっすらと目を開けると、当たりはまだ薄暗くて、枕元の灯りが淡く輝いて見えた。
ゆっくりと起き上がると凛は何も身につけておらず、腰に鈍い痛みを感じて先程まであったことを思い出す。
あの時は快楽に溺れていて全てがどうでもよくなってしまっていたが、今考えたらなんてことをしてしまったのだろうと顔から火が出るほど恥ずかしい。
「…もう起きたのか」
思い出して一人で恥ずかしくなって両手で顔を抑えると低い声がして、声のした方を見ると着物を羽織った高杉がいつも通り窓の縁に寄りかかって煙管を吸っていた。
「…あ、晋助様」
「まだ夜明け前だぜ」
「…えっと、すみません、目が覚めてしまって…晋助様こそもう寝ないんですか?」
「俺も目が覚めちまってな。夜明けを見ながら一服ってとこだ」
高杉は煙を吸い込むとゆっくりと吐き出した。
「…」
先程までのことを思い出して少し気まずくて恥ずかしくて、どうしていいか分からない。
ただ煙管を吸う高杉の横顔をぼーっと眺めていると高杉が言った。
「もう少し寝るか。お前も寝ようぜ」
煙管の灰を窓の外に捨てると凛の隣に寝転がる。
同じように凛も同じ布団に入ってちらっと高杉の顔を見た。
「なんだ?」
「いえっ…」
赤くなる凛を見て高杉はフッと笑うと、凛を抱きしめて言った。
「あんな風にエロいお前も悪くねェな」
「っ…!」
恥ずかしいところをつかれて凛はさらに顔を紅潮させた。
その姿に高杉はさらに楽しそうに笑う。
「もうっ…言わないでください…」
「好きだって言ってんだ、いいだろ」
「晋助様のばかっ…」