第30章 【最終章】夢か現か \❤︎/
「お前はどうなんだ?」
「わたし、ですか…?」
「あァ」
胸に手を当てて考えてみる。
わたしはいつも、どんな時にドキドキするだろうか。
「…わたしは、いつもドキドキしてます。…晋助様といるといつだってドキドキするんです。なぜなんでしょう…もう長く一緒にいるのに。いつまで経っても慣れることはありません」
高杉の前だとなぜだかいつも心臓がドキドキして、でもそれが心地よくて。
何回抱き合っても、何回キスをしても、何回身体を重ねても慣れることはなくいつまでもずっとドキドキして、恥ずかしくて、けれど幸せになる。
これ以上に幸せなことはこの先何十年経ってもきっとないと感じた。
「…今だってわたしはドキドキしてますよ」
鳴り響く胸の鼓動が高杉に伝わるようにと凛はぎゅうっと高杉を抱きしめた。
すると抱きしめ返して頭をなでてくれて、凛もまたぎゅっと腕に力を込めた。
「…凛」
名前を呼ばれて顔を上げると、ゆっくりと口付けられて抱き合いながら口付けを交わす。
あったかくて幸せで、身も心も満たされる。
唇を離してはまた口付けて、歯を割って入ってくる舌の感触に甘くてとろけてしまいそうだ。
「…」
唇を離すと凛は高杉に微笑みかけて紫の髪を優しくなでた。
指先で髪を絡めて、そして背伸びをして頬にキスをする。
高杉もそれに応えるように凛の耳や首筋にキスを落とす。
「…凛、好きだ」
「…晋助様が好きって言ってくれるなんて珍しいですね」
「毎日言ってると普通になっちまうだろ。こういうのはここぞって時に言やァいい」
「なら、今がここぞって時なんですね」