第29章 鬼が哭いた日 \❤︎/
赤い唇に誘惑されて、高杉は凛の頭を掴み強引に口付けた。
「んっ…」
口の端から漏れる吐息に少しずつ心は休まっていって、もっと安心感を求めてさらに舌を差し込んだ。
「んっ…んんっ…」
唇を離すと酸素を求めて荒く息をつく凛の姿に異様に興奮してしまう。
この衝動を抑えられなくなって、凛を押し倒した。
「…晋助さ、」
押し倒すなりまた強引に唇を奪って帯を緩め、大きく開いた胸元に手を入れた。
「んっ……んん……!」
酸素を求めもがく凛の脚をおもむろに開かせ下着の隙間から指を差し込む。
微かに濡れた感触を確認すると、高杉は自身を取り出してそのまま一気に奥まで挿入した。
「あっ…!!」
手首を押さえ付けて強引に腰を動かしても涙を流すだけで凛は拒んでこない。
拒ばないのをいいことに、高杉は感情を吐き出すようにこの行為を続けた。
「はぁ……はぁ……ぁっ…!」
「……ッ」
この激しい行為に耐えるために凛はただ高杉に抱きついて、言葉を発する代わりに背中に爪を立てた。
「凛……凛……ッ、!」
「ぁ……っ、あぁっ…晋助様っ……!」
無我夢中で凛を抱く。
自分の名前を呼びながらただ喘ぐ凛を見ていると、凛が自分の全てを肯定して受け入れてくれているようで安心できた。
背中に痛みを感じるたび、強ばった凛の手脚を見るたび抑えられなくなる。
辛い記憶も、今までやってきたことも全部。
凛に縋っている時だけは全てを忘れられるような気がした。
今は何も考えたくない。
ただコイツに全てを委ねていたい。
「凛………ッ…」