第28章 幸せって甘い
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ガタン!
大きな物音がして、高杉はゆっくりと目を覚ました。
「…あ!すみません、起こしてしまいましたか?」
「…」
ぼーっとする頭を働かせて起き上がると、そこには布団を抱きかかえた凛が立っていた。
「すみません、お布団持ってきたんですけど…まだお休みになられますか?」
「…いや、もういい。すまねえな」
「いえいえ、わたしこそすみませんっ」
…俺は夢を見てたのか?
夢にしては随分と出来すぎた夢だ。
まだ、微かに小指に小さな凛の感覚が残っている気がした。
「また、夢でも見ていたんですか?」
「…あぁ」
「どんな夢だったんですか?」
「…秘密だ」
「えっ」
「だが、いい夢だった」
「なら教えてくれてもいいのに!」
「クク、駄目だ」
少し拗ねたように頬を膨らます凛に、高杉は笑って胡座をかいた。
「オイ凛」
「はい!」
「この間お前が食いてえって言ってたヤツ、買っといたぜ」
「え?何ですか?」
「そこに入ってる。あけてみろ」
高杉に指さされた通りに冷蔵庫をあけると、そこには白い箱が入っていて、冷蔵庫から箱を取り出して中身を見るとそこには可愛らしくておいしそうなケーキがたくさんあった。
「え!これもしかして!」
「食いてえって言ってただろ?…これでよかったのか」
「はい!ずっと食べたかったんです〜!晋助様が買ってきてくださったんですか?」
「さあな。」
「???…とにかく、ありがとうございます!これ…食べてもいいですか…?」
「お前に買ってきたんだ。早く食え」
「ほんとですか!ありがとうございます!」
顔を輝かせながら皿とフォークを二つ取り出して、片方の皿に大きなイチゴのショートケーキを乗せる。
「晋助様はどれにしますか?」
「俺はいらねえよ」
「こんなにおいしそうなのに食べないんですか?」
「ああ。全部食っていいぜ」