第28章 幸せって甘い
「…ほんとに?」
「…あぁ。約束だ」
「…うん!約束!」
凛は小指を立てると、高杉は凛の小さな指に自分の指を絡めた。
「大きくなったら、わたしもお兄ちゃんのこと幸せにする!」
満面の笑みでそう言う凛に、高杉も少し笑って凛の頭を優しくなでる。
嬉しそうな凛の表情に、安心して高杉は立ち上がった。
「お兄ちゃん、今日はありがとう。とっても楽しかった!」
「…俺も楽しかった」
「…また会える?」
「あぁ。俺が会いに来る」
「うん!」
そう言うと嬉しそうに笑う凛に、高杉はまた凛の頭をなでた。
「そろそろお母さんのところ帰らなきゃ!今度はお母さんにも会いに来てあげてね!」
「…ああ」
「じゃあね!ばいばーい!」
最後に精一杯に背伸びをして、高杉にぎゅっと抱きつくと凛は元気に走っていった。
その後ろ姿を、高杉は見えなくなるまでただ見つめていた。