第22章 夢みたいだ
起こさないように気をつけながら何度も頬をぷにぷにする。
それでも起きない高杉に、さらに愛しさがこみ上げてきて凛は静かに微笑みながら優しく高杉の頭をなでた。
(…サラサラ…)
いつも高杉に頭をなでてもらっていることを思い出しながら凛も高杉の頭をなでて、指で紫の髪を絡めてみる。
すると高杉の体がピクっと震えて、焦ってなでる手を止めた。
「っ……」
しばらく動きを止めても、高杉は起きた様子がない。
顔を覗き込んでみるとまだ眠っているようだった。
(…疲れてるのかな)
いつも艦をあけている高杉のことを思い出して、凛はまた優しく頭をなでた。
「…」
改めて高杉の顔をぼーっと眺めてみる。
包帯に隠れた左目は見えないが、長い睫毛にスっと通った鼻筋、そして色っぽい唇。
整った顔を眺めながら思った。
眠っている姿を見ると、さらに愛しさが込み上げる。
いつも晋助様はわたしが眠ってるの見てる時こんな気持ちなのかな…
同じ気持ちだったらいいな、なんてことを思いながら。
そんなことを考えていたら急に高杉に触れたくなって、凛は高杉に手を伸ばした。
…キスしてもバレないかなぁ?
不意にそんなことが頭をよぎって、高杉の顔を見つめる。
しっかりと眠っているはずだ。
キスするくらいならば、
そう思って、ドキドキとうるさく鳴り響いて止まない心臓を押し殺して唇を見る。
あと少し、
息を殺して唇の距離を縮める。
その距離、わずか5cm。
意を決して唇に触れようとした時、
「…っ」
(……やっぱりむりっ!!!)
凛は真っ赤な顔で咄嗟に唇を離した。