第22章 夢みたいだ
「…ん?」
うっすらと目をあけると、まだ辺りは明るくて窓から入る夕陽の光で凛は目を覚ました。
確か、高杉の部屋で横になりながら貰った本を読んでいたらうとうとしてそのまま眠ってしまったのだ。
起き上がろうとして目を擦りながら布団をどけると、隣に凛と並んで横になる人影があってぎょっとした。
「えっ……!?」
見ると、その正体は高杉だった。
「……晋助様?」
確か、高杉はずっと窓の縁に腰掛けながら煙管を吸っていて…それからの記憶がない。
ということは、高杉も眠くなって隣に寝ていたのだろうか。
自分だけには布団がしっかりとかけられた状態で、高杉は何も被っていない状態で寝ている。
凛は咄嗟に自分が被っていた布団を高杉にかけた。
「…寝てる…」
あの高杉が、こんなにも無防備に寝ている。
いつも一緒に寝ていても高杉は凛よりもあとに眠りにつくし、凛よりも先に目覚める。
そのため、こんなにまともに、しかも間近で高杉が寝ているところを見たのは初めてだろう。
とってもレアで、珍しいことになんだか嬉しくなって凛はじーっと高杉の寝顔を見つめた。
(…かわいい)
いつも不敵な笑みを浮かべているか、仏頂面の高杉の顔からは想像できないほど無防備で自然体だ。
(どうしよう、かわいすぎて写真撮りたい………!)
この寝顔を写真に収めたい衝動にかられる。
だがもちろんその場にカメラなどない。仕方なく凛はまた高杉の顔を見て、高杉の頬を指で優しく押した。
ぷに
(あっ…意外と柔らかいかも……)
想像以上に柔らかい感触に、何度もぷにぷにしたくなる。