第21章 冷血硬派♡高杉くん \❤︎/
「…晋助様、今日もそろばん塾ですか?」
「…今日はねえよ」
お互い無言で高杉のあとを凛がついて歩く。
学生服に身を包んだ男女二人が並んで歩くでもなく、男のあとを女が追って歩くというのは周りから見たらなんだか異様な光景だろう。
「そうですか。ではまた夜兎工業に行くんですか?」
「いや、もう行かねェ。夜兎んとこの野郎とはもうケンカすることもねえだろうよ」
「…夜兎といえばこの前神威さんに会いました」
「…神威?」
「はい、この前他校の男の人にしつこく話しかけられた時神威さんが助けてくれたんです」
「…」
「神威さんって怖い時もあるけど本当は優しいですよね。晋助様が仲良しなのも分かります」
「…その話しかけてきた野郎はどんな制服着てた?」
「…えっと、確か灰色の制服でした…」
灰色の制服と聞いてはっとする。
確か以前ケンカを吹っかけられてボコボコにした相手が着ていた制服も灰色だったはずだ。
「…オイ凛、なるべく一人で行動すんじゃねえぞ。何かあったら俺を呼べ」
「はい、ありがとうございます。でも晋助様と一緒なら安心ですね!」
嬉しそうに笑う凛とは裏腹に、高杉は胸の中に抱いた嫌な予感を払拭することができなかった。