第4章 コトバの紡ぎ方
「それより凛さん、あなたは本当に日に日に美しくなっていきますねぇ」
「あ、ありがとうございますっ」
「あの人が自分のものにしたい気持ちもわかる気がします」
「…え?」
「凛さん、あなたはあと数年後なんかすんごいことになる」
「えっ?そ、そうですか?」
武市の言っている意味がイマイチ理解出来なくて、返す言葉に戸惑う。だが褒めてくれていることは分かったので、とりあえず笑顔で礼をした。
「よく分からないけれど、ありがとうございます!」
武市は、いつも自分のことを褒めてくれる。
『そんなに褒められることなんてありませんよ。』と言うと、
『いえいえ、そんなことはありませんよ。』と。
なぜか分からないけれどいつも褒めてくれるから、なんだかこちらも照れくさくなってしまう。
「えっと…武市さん」
「ん?なんですか?」
「いつも、褒めてくださってありがとうございます」
「…いえいえ。女性に優しくしてこそ、フェミニストというものです。決してロリコンではありませんよ」
「はぁ…」
「ん〜、さすが、晋助殿といったところですね。とてもお目が高い。おっと、あまり喋りすぎると晋助殿に怒られてしまう。」
今までの分ということでまた改めて武市に礼を言うと、武市は表情一つ変えずにそう言って頷いた。
とりあえず自分の仕事はここまでだが、ついでにと思い凛は思い切って武市に聞いてみたところ、
「あの…誰かに伝言とかありませんか?何かあれば伝えてきます」
「…うーむ」
武市は腕を組んで考え、何かピンときたのか
「では、せっかくですからお願いしましょう。阿伏兎さんに伝えてください」
そう言われ、凛は武市と別れ阿伏兎のところへと向かった。