第4章 コトバの紡ぎ方
今度はまた子に頼まれた伝言を武市に伝えようと、凛はまた子の部屋を出て艦の中をうろうろし始めた。
武市がいる場所といえば、、、大体検討がつく。
またあの場所で雑誌か何かを読んでいるのだろうか。
そう思い、凛はその場所へ向かった。
ゆっくりとその場所に歩いていくと、予想通り操舵室で雑誌を眺めている武市変平太の姿があった。
「武市さん!」
「おやおや凛さん。どうなさいましたか」
凛が後ろから話しかけると、武市は振り返って雑誌を読む手を止めた。
「また子さんから伝言が……」
「また子さんからですか?」
武市は少しだけ顔を顰めると、凛の言葉を待った。
「あの、大量に積んであったロリコン雑誌処分しといたッス!だそうです」
「処分ーーー!!!!!?????」
また子からの伝言を聞くと、武市は血相を変えて青ざめた。
いつも見開かれた目は血走っていて、胸が少しドキリとする。
「雑誌が、どうかなさいましたか?」
「……いえいえ、なんでも、ありませんよ……」
何か大切なものを処分されたのだろうか。
武市がいつもどんなものを読んでいるのかは知らないが、その雑誌にはいつも少女が描かれていた。
少し気になったが、なぜかあまり深く聞いてはいけないような気がして凛は口ごもった。
「…具合が悪そうですが大丈夫ですか?今お水を…」
「気にしないでください。…決して平然を装っているとか、そういうわけではありません…」
身を翻そうとする凛の着物の袖を、武市は掴んで止めた。
とても気が気ではない顔をしているが大丈夫なのだろうか。