第4章 コトバの紡ぎ方
万斉からまた子に伝言を頼まれて、凛は暇つぶし程度に広い艦内をうろうろとまた子を探し始めた。
また子さんはどこにいるんだろう。もしかして部屋の中にいるのかな。
もうさっきからかなり辺りを回っているが、一向に見つからない。
まさかと思い、凛はまた子の部屋に向かった。
「…また子さんいますか?」
トントンと音を鳴らしてまた子の部屋の扉を開けてみると、そこには思った通りまた子がいた。
「あ!また子さんいた!」
「…あ、凛。どうしたッスか?」
金色の髪に、腹部が大胆にあいた丈の短い着物を着た女ーーー来島また子は自室の机に向かいながら何かをしていたようで、凛の姿に気付くと手を止め後ろを振り返った。
「万斉さんから伝言を頼まれて!」
「万斉先輩から伝言?」
言われた通り、また子に伝言を伝えた。
するとまた子は「分かったッス!」と短く返事をして了解したようだった。そしてなにやらまた熱心に机に向かって手を動かし始め、凛はまた子の背からその様子を眺めた。
「…何をしているんですか?」
「銃の手入れッス!時間がある時じゃないとこういうことできないッスから」
きっと弾は入っていないのだろう。
また子はいつも戦闘時に愛用している2丁の銃を布で熱心に拭いていた。
「なかなか!汚れが落ちないんス!」
『お手伝いしましょうか?』
そう言おうと思ったが、愛用している銃を他人に触れられるのは嫌だろうと思い、凛は口を止めた。
「伝言さんきゅーッス。そういえばわたしも武市変た…武市先輩に言いたいことがあるから行ってくるッス」
「…わたしが伝えてきましょうか?」
また子を気遣ってそう言うと、
「…いいッスか?」
そう言われ、次は武市のところへと向かった。