第17章 Good for you \❤︎/
「お疲れ様です、晋助様」
「ああ」
外から帰ってきた高杉を迎えて編笠を受け取ると、凛はいつも通り高杉の部屋へと向かった。
高杉が外へ出ている時は凛が高杉を出迎えることが日課になっていて、いつも高杉から受け取った荷物を部屋へと運ぶのも凛の仕事になっていた。
高杉の部屋に編笠をしまうと、あとから高杉が部屋に入ってきて言った。
「いい子で留守番してたか?」
「…もう、子供扱いしないでください」
「そういじけるな。悪かった」
頬を膨らませて拗ねる凛に、高杉はまるで子供をあやす親のように頭をなでてみせた。
「寂しかっただろ?最近構ってやれなかったからな」
「…全然寂しくなんかないです」
「素直じゃねえな」
高杉が脱いだ羽織を受け取ると、凛は不服そうな面持ちで綺麗に羽織をたたんで箪笥にしまおうとした時だった。
「…凛」
優しく引き寄せられて、気付けばもう高杉の腕の中だった。
「俺に会いたかったんだろ?」
「…そんなに会いたいなんて思ってないです」
「…そうか、それは残念だ。…俺は今すぐにでもお前に会いたかったんだがな」
思ってもみなかった高杉の言葉に、顔が熱くなるのを感じた。
「お前に会って抱きしめたかった」
「…晋助様」
高杉にそんなことを言われ、ぎゅっと強く抱きしめられて体が熱くならないわけがない。
凛も持っていた高杉の羽織を強く抱きしめた。
「…ずっとこうしたかった」
優しい腕にたまらなくなって、凛も高杉の胸に顔を埋める。