第4章 コトバの紡ぎ方
「凛」
「…あ!万斉さん!」
最近午前中は本当に暇で、特にやりたいこともやることもない。
だから艦内を一人で散歩していると、後ろから万斉に声を掛けられた。
「どうしたんですか?」
万斉はヘッドフォンをしたまま凛の問いかけを返す。
「さっきからまた子を探しているのだが知らぬか?」
「また子さんは……見かけてないですね」
さっきからぐるぐると艦内を散歩しているが、一向にまた子とは出会っていない。
「そうか。…全く、この艦が広すぎるのがいけないのでござる」
万斉の言葉通り、この艦は本当に広い。
何百もの部屋や台所に風呂、生活に必要なものは全て揃っている。
もうここに来て長くなるが今でも迷子になってしまうほどだ。
「どうかしたんですか?」
「また子に言いたいことがあってな。」
「もし良かったら…また子さんに会ったら伝えておきましょうか?」
どうせ部屋に戻っても暇なので、万斉の力になろうと提案をすると、
「お、ではお願いするでござる」