第14章 Spirits \❤︎/
真っ赤な顔の凛を呼び止めて引き寄せると、男はそのまま凛を自分の膝の上に座らせて後ろから肩を抱いた。
「ん……」
とろんとした目の凛の髪を撫でると、もう一人の男が凛の帯に手を掛け、襟を緩めようとした瞬間、
「おいテメェら…何してる?」
「たっ…高杉さん!」
一瞬にして酔いが冷めたのか、男二人は高杉の顔を見るなりみるみるうちに赤い顔から青い顔へと変わった。
そして高杉が男達を睨みつけると、二人は青ざめた顔で逃げるように部屋を出ていった。
当の凛はというと、その場でうずくまって眠ってしまっているようだった。
「……凛」
名前を呼んでみたが返事はない。
しばらく体を揺すってみても、返事はない。
「………」
仕方ない。
このまま背負って部屋まで連れて行くしかない。
「…弱えの分かってるなら飲むんじゃねェ」
凛の熱くなった頬に触れて、体を抱き上げようとした瞬間。
「……んぁ」
「オイ凛…」
「んー…しん、すけ、さまぁ?」
「ホラ、部屋連れてってやるから立て」
「んんん…暑いよぉ…」
差し伸べられた高杉の手を握ってなんとか立ち上がると、凛は高杉の腕に抱きついておぼつかない足取りのまま大部屋を出た。
凛の自室に着くと、既に敷いてあった布団の上に寝かせて風が入るように窓を開ける。
そしてしばらく凛が横になる布団の側で頭を撫でてやると、それが気持ちいいのか凛はニコニコしながら高杉の手を掴み、そのままギュッと握った。