第10章 キラキラ.*・゚
無言を貫いたまま、また子に半強制的に連れてこられたのは誰もいない艦の甲板だった。
外に出ると、青い空と青い海はさらにキラキラと光って、太陽が反射して眩しいくらいだ。
「あのっ…来島さん?」
凛は後ろから小さな声で声を掛けると、また子は掴んでいた腕を離してキッと凛を睨みつけた。
「っ…」
睨みつけられると、息が止まるような思いになって凛は唾を飲んで俯いた。
鬼兵隊にいる、唯一の女性が来島また子だった。
なのに、実はまだまた子とまともに話したことがない。
話したい気持ちはあるのだけれど、あの独特な雰囲気と男勝りな性格ゆえになんとも話しかけづらい雰囲気があった。
それにふと気が付くといつも睨まれているような気がして、もしかしたら嫌われているのかなとさえ感じていた。
それも無理はない。
でもやはり今のこの雰囲気だと嫌われているようで、途端に悲しくなって目頭が熱くなる。
何かしてしまっていたのだろうかと考えを捻り出そうとしても、何も思い当たる節がない。
何をするつもりなのだろうか。
また子の顔を見るのが怖くて、俯きながら拳を握るといきなりまた子が口を開いた。
「…単刀直入に聞くッス」
「…?」
「…お前は本気で晋助様が好きッスか?」
予想していなかったまた子のいきなりの言葉に、凛は返事をすることができなかった。
「………」
「好きなのか聞いてるッス。早く答えろ」
どうしていいかわからなくて、その場に固まったまま動けない。
好きなのに、素直に頷くことができなかった。