第8章 「 かのじょ 」 二口堅治
「いや、自分の気持ちは相当押さえてるけど。」
「そうなんですか?えっと、でも、嘘はつかないですよね?誠実だと思います。」
「俺を誠実?!それ、本気で言ってるの?」
「本気に決まってるじゃないですか!」
女とっかえひっかえ男の俺を誠実だなんて。
信じられない。
「真由と付き合う前の俺のこと、ちゃんと知ってる?」
「ええ。もちろん。有名でしたから。」
「“誠実”なんて俺には一番似合わない言葉だろ?」
「うーん。確かに、私とお付き合いする前の二口くんは女性に対して不誠実だったかもしれませんね。でも、私にはいつも誠実でいてくれます。」
あと、バレーにも! と付け加え、柔らかく笑う真由。