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【HQ】ストロベリーシンドローム

第12章 「 同窓会 」 澤村大地


「久しぶり、石井さん。」


彼、澤村大地くんはにっこりと笑いながらそう言った。
その笑顔が、高校時代と何も変わってなくて、どきっとする。
そして、彼が「私を覚えていてくれた」ただ、それだけでこんなにも嬉しいのかと。


高校卒業から5年。
23歳になった私に、烏野高校3年4組同窓会が行われる連絡が来た。

高校時代、私は澤村くんへ密かに思いを寄せていた。

人当たりも面倒見もいい澤村くんは、クラスで目立たない私を気にかけてくれていた。
でも、まあ、普通のことで。
挨拶をしてくれたり、普通に話をしただけ。
特別なことは何もなかったけれど、いつも変わらない笑顔で接してくれた。
でも、連絡先も知らなかったし、クラスメイト以上の関係になることはなく、高校を卒業してしまった。
叶うことのない初恋だった。
澤村くんには、道宮さんっていうかわいい彼女もいたしね。

初恋の相手に会えるかもしれない、そう思うと、同窓会へ行くのがとても楽しみだった。


なのに・・・!!
今日に限って仕事を切り上げることができず、同窓会には遅刻が決定している。
幹事の子に連絡を入れ、急いで指定された居酒屋へと向かった。
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