第11章 「 さんかく 」 影山飛雄*月島蛍
「石井さん、おひるごはん、一緒に食べよ。」
昼休み、石井さんの教室まで行き、彼女に声をかけた。
今まで、石井さんから僕を誘うことはあっても、その逆はなかった。
その、予想外の僕の行動に、石井さんからは少なからず動揺している様子が伺えた。
「べ、別に、一緒に食べてあげてもいいけど!」
石井さんは照れたようにそう言った。
僕が自分の気持ちを伝えたことで、少しでも意識してくれているなら、それは好都合だ。
しかも、断ってこないところを見ると、別に嫌ではないらしい。
「それは、どうも。じゃあ、行こう。」
僕はそう返事をすると、いつも石井さんと一緒にお昼を食べている中庭のベンチへ向かった。