第11章 「 さんかく 」 影山飛雄*月島蛍
「だめだよ。やっぱり。私が飛雄を一番に思ってる限り、ツッキーには悲しい思いを絶対させちゃう。それに、私が耐えられないの。」
ツッキーは何も言わない。
「私、きっと、飛雄じゃないとダメなんだと思う。」
それは、一ヶ月間、何度も思ったことだった。
「これが、私のわがままだってわかってる。でも、それでも・・・・。」
私がそう言うと、ツッキーは目をゆっくりと閉じ、深呼吸をした。
「わかった。」
そう言うと、いつもの優しい笑顔を見せた。
「別れよう。」
ツッキーの言葉に、涙が出そうになる。
でも、私が泣いたらダメだ。
「その代わり、ちゃんと影山に自分の気持ちを伝えること。それが条件だよ。」
「ツッキー。ありがとう。」
ツッキー。優しすぎるよ。
「じゃあ、また、学校で。」
ツッキーはそう言うと、歩いて行ってしまった。
ツッキーが歩いたのとは別の方向に向かって歩き始める。
私が向かうのは、飛雄の家だ。