第11章 「 さんかく 」 影山飛雄*月島蛍
自分の部屋で茫然と立ち尽くし、飛雄の言葉を思い出す。
「好きな人ができた。」
そうなることもあるって予想しなかったわけじゃない。
わかってた。
だって、もう、高校生。
飛雄だって、好きな女の子くらい、できるよね。
考えれば、考えるほど、今まで“幼馴染”としての距離の取り方しかしてこなかった自分を呪う。
もっと、アピールできた。
もっと、気持ちを言えるタイミングはあった。
勇気がないなんて言って、何もしなかったから。
だから、だから、こんなことになってしまった。
そう思うと、涙が止まらない。
私は泣きながら、ベッドへ飛び込んだ。