第11章 「 さんかく 」 影山飛雄*月島蛍
それは、珍しい誘いだった。
「今日、一緒に昼飯どうだ?」
特別仲がいいわけではない、影山からの誘い。
何か裏があるに決まっている。
影山の表情は、いつもの自信のあるものとは違い、どこか不自然だった。
「大事な話がある。」
影山がこんな風に僕に何かを頼んでくることも、もうないかもしれない。
ちょっと、おもしろいかも。
「わかった。・・・で、何が目的なわけ?」
僕がそう聞くと、影山は少し顔を強張らせて話し始めた。
「単刀直入に言うと、俺の友だちが月島と仲良くなりたいから紹介して欲しいって言ってる。」
「うわ、めんどくさ。」
心の声が素直に口から出た。
「でも、これで貸し一つ作れるならいいか。紹介されるだけなんでしょ?」
僕が聞くと、影山はうなずいた。
まあ、顔見知りがひとり増えるくらい。
影山に貸し作れるならいいか。
そう思ったことが間違いの始まりだった。