第11章 「 さんかく 」 影山飛雄*月島蛍
それからしばらく経つと、真由と月島が学校で喋っているのを頻繁に見かけるようになった。
真由はもちろん、心なしか月島の表情がいつもより柔らかく見える。
いや…そんな、まさか。
月島に、真由のことをどう思ってるか聞いてみるか?
そんなの聞けないよな。無理だ。
そう思いながら部室のドアに手をかけると、中から山口と月島の話す声が聞こえてきた。
「ツッキー、最近石井さんとよく一緒にいるね。」
「うん。石井さんが来るからね。」
「結構、石井さんのこと、気に入ってるでしょ?」
「はあ?!何言ってるの?そんなはずないでしょ。」
「そうなの?」
「・・・いい子だとは思うけど。」
「ほら!!やっぱり!!」
「いや、そういうのじゃないから。」
「俺、応援してるよ!ツッキー!」
「そういうのじゃないってば。」
ドアにかけた手が動かない。
月島も真由のことが気になってる・・・?
その不確かな事実が、俺の身体を鉛のように重くした。