第11章 「 さんかく 」 影山飛雄*月島蛍
「あのさ、バレー部のあの子…なんて名前?」
「は?誰のこと?」
「あの、背高くて、メガネの子!」
「あー、月島。」
「ふうん。月島くんって言うんだ。」
真由は少し嬉しそうに月島の名前を呼んだ。
「どうしたんだよ。そんなこと聞くなんて。」
「いや、あの子かっこいいな~と思って。」
俺は真由の言葉に耳を疑った。
「いや、かっこよくはない。」
「え?そう?」
かっこいいと思うけどな~ なんて言いながら真由は漫画を読み進める。
何で急に月島?
「ねえ、月島くんってさ、彼女とかいるのかな?」
「いる。」
なぜか咄嗟に嘘が出た。
真由は俺を横目で見ながら
「ふうん。そうなんだ。」
と言った。
なぜ、こいつの中で月島がよく見えるのかは謎だが、納得している。