第9章 「 ひみつのノート 」 及川徹
そして、冒頭に戻る。
岩ちゃんが、女の子の名前なんて把握してるわけないのに、なんで聞いちゃったんだろう。
藁にもすがる気持ちってやつ?
「あー。あの子?石井さんだよ。」
「わ!マッキー!びっくりした。」
後ろから、突然声をかけられ、驚いてしまった。
「何?及川、あの子のこと気になるの?」
マッキーはからかうように言った。
「うぇ?!違う違う!!えっと、なんていうの?えっと、あ!そうそう!!あの子、見たことなかったから。」
「あー。まあ、存在感ない感じだよな。友だちもいないっぽいし。」
俺の言葉を聞いて、まっつんが続けてそう言った。
「マッキーとまっつんはなんで石井さん?のこと知ってるわけ?」
「去年、同じクラスだったから。」
なんだ、なるほど、そういうことか。
その言葉を聞いて、ほっとする自分に気づく。
っていうか!喋ったこともないし、なんなら名前も今知ったくらいなのに!
なんで、どうして、ほっとしちゃってるんだ!!