第1章 入学と出会いとあの日
月島side
久しぶりに会ったはびっくりするほど更に綺麗になっていた。
あの頃とは違う綺麗な彼女に最初は気付かなかった。
校門で大きな声出してる変な奴がいる。
そうとしか思わなかったのに振り向いたらだった。
そして話しかけてこのザマだ。
東京で楽しくやっていたのであろうは僕の事をすっかり忘れていた。
そりゃそうだろう。だってこの可愛さで他の男が放っておく訳ない。
小学生の頃はこんな可愛い子が東京にはいっぱいいるんだなぁという印象だったけど、実際に修学旅行で行ってみて初めて僕は知った。
彼女が特別可愛かったということに。
そして焦った。連絡先も聞かなかったことを凄く後悔した。
あれからのいとこも練習に来なくなったし、僕と彼女の関係はキーホルダーを残して何一つなかった。
修学旅行でもドラマのように会えるかもしれない、とバカみたいに期待していた。もちろんそんな事もなく会えないままだった。
こんなにも会いたがっていたのは僕だけで。
また嫌味な文言が口を突いて出る。
名前で呼ぶのも僕ばかり覚えているようで面白くなくてわざと苗字で呼んでやった。
途端にショックな顔して、焦った顔して、何か思い出したようにソワソワしだした。更に鞄を後ろに隠した。
冷静に観察していると意を決したようにが話しかけてきた。
『蛍!あの!久しぶり!大きくなりすぎて気付かなかったよ。身長いくつなの?』
当たり障りのない会話。嬉しかった気持ちが自分だけだったと思った僕の心は冷え冷えとしていた。
こんなに可愛いなら彼氏もいるんだろうなぁ
どうせ優しくてイケメンでのことを甘やかしまくってイベントとか2人で必ず祝って…ってなんだかイライラしてきた。
大体なんで宮城に来ているんだよ。
こっちは何度も東京に会いに行ったのに無駄だったじゃん(←修学旅行後も何かと理由付けて何度か東京に行っている)
『蛍?聞いてる?』
反応のない僕の事をが心配している。
と思ったら校舎から教師の声がした。を呼んでいた。
そして僕に何か一言言って教師の方に走り出す。
その後ろ姿の鞄にあのキーホルダーを見た。
そして僕は今日の全てを許した←