第4章 復帰と合宿とお猫様
今朝の蛍からのドタバタ劇はあったものの無事、本日の最後の教科も終わり部活へ行く準備をしていると事は起こった。
教科書を鞄にしまっていると部屋がザワつき、黄色い声がそこかしこから聞こえてくる。
「あ、あれって誰?超カッコいいね。」
「うそ。あんなにイケメンっていたっけ?先輩かなー?」
「なんかミステリアス!お近づきになりたいなぁ。声かけてみる??」
そんな皆の声にイケメンが来たのかーと考えながら興味のない私は黙々と鞄に教科書を詰め込んでいた。
「おい!!」
そう呼ばれて始めて教室の前を見るとそこには影山君が居た。
何故か不機嫌そうに。
いや、彼はあの顔が標準装備か。
「なぁんだ。ちゃんに用かぁ。」
「ちゃん相手なら勝ち目ないなぁ。残念。」
「やっぱりモテるよねー。いいなぁー。」
そんな声が耳に入り更にいたたまれなくなりながら影山君の元に向かう。
ほんとは否定したいけど、あの状態の彼を一刻も待たせておいてはいけないと本能が告げている。
急いで彼の視界に入ると彼からは爆弾発言が放たれた。
「おい、。俺と付き合ってくれ。」
「「「「えええええええーーー!!!!!」」」」
途端に響き渡るクラスメイトの驚愕の声と、硬直する私。
そして視界の端には傍観を決め込んでいた蛍が慌てた様子で近付いてくる姿が見えた。
もうどう転んでも嫌な展開、嫌な喧嘩が始まるゴングがどこからともなく聞こえてきて生きた心地がしない。
蛍「ちょっと王様、どういうつもり?」
影「はぁ?何が。つーかお前に関係ないだろ。月島とが付き合ってる訳でもないのに何でお前が出てくるんだよ。」
蛍「っ!君はいちいちムカつくなぁ。しかもなんでの事呼び捨てにしてんの?何様なの?王様?そーですか。」
影「テメェ…さっきから王様、王様って……!もういい!ホラ行くぞ!!」
言い争いから急に影山君から腕を持たれて走り出された。
全く思考回路が付いて行かない私をグングンと引っ張って影山君は走る。
不意を突かれて一瞬立ち止まっている状態から動けなくなった蛍が少し遅れて走ってくるのが見える。