第3章 仲間と4強と守護神
朝、予め蛍と約束していた時間にエントランスへ降りる。
エントランスには蛍がヘッドホンで音楽を聞きながら佇んでいて、こちらには気付いていない様子だった。
ここぞとばかりにその横顔を眺める。
やっぱりイケメンだ。そしてこの高身長。モテない訳ない。
私のしょぼい知識の中から見た昨日の夢でも蛍はテクニシャンだった。
胸やらもっと恥ずかしい所を夢の中で弄んでいた長く細い指は、今はスマートフォンを巧みに操っていた。
その指から目が離せなくなる。夢の中と同じ指の長さや形に少し恥ずかしくなってきた。
そこまで考えて我に返って蛍へ声を掛ける。
『待たせてごめん!』
私の呼び掛けにも特に表情を変えることなく蛍と2言、3言交わして肩を並べて歩きだす。
『今日の試合楽しみだね!勝てるといいね!』
「わざと言ってるの?僕がそんなの本気になる訳ないデショ。」
『でも、頑張っている姿はかっこいいじゃん。かっこいい人好きだもん。』
「だから、煽ってんの?…まぁ気が向いたら、ね。そっちはせいぜいメガネ外さないように気を付けなよ。」
気が向いたら、と蛍は言ったが、何気に負けず嫌いな彼の性格上本気になるに決まってる。しかも相手はあの影山君だ。
相性悪そうだし、100%ムキになって勝とうとするんだろーなぁ。
蛍は自分の事はよく分かってないんだよね。
そう思いながら、ふふっと私が笑うと蛍は歯痒い顔をして少しだけ顔を赤らめた。
そんな2人の間を田中先輩の大きな声が割って入る。
田「お前ら!何、朝から青春の空気を出して仲良く登校してんだコラァー!!月島お前けしからんんんん!今日はぜってぇ負けねぇからな!!!」
蛍「登校と試合に何の関係あるんですか。だいたい一緒に登校した位で騒がないで下さいよ。キスした訳じゃあるまいし」
田「き、き、キスだと!?て、てめぇまさか、、ちゃんに手を出したのか!?答えろコラァーーー!!」
蛍「それは内緒です。ね、。」
蛍の言葉に田中さんも私も絶句する。
明言は避けたものの、その後田中さんのチラチラした視線を受ける度また妄想で素っ裸にされた上に更にキスまで妄想されるんじゃないかと気が気じゃなかった。
そんな小競り合いをしていると校門前で山口君と合流した。
そして4人で体育館へと向かう。