第2章 新学期と新生活と入部
そんな甘党宣言で可愛い発言にも関わらず、蛍はじりじりと寄って来てその見た目に可愛さは微塵も感じられない。
「何?何か言いたいことでもあるの?」
『いえ。ただ、少し近いかなーって思いまして。』
「大丈夫。何もしないよ。」
その言葉通り、蛍は何もしてこなかった。
ソファで肩が触れ合うほどの隣に座って来ても、何もして来ない。
カモミールティーの味なんてほとんど分かんない位に緊張しきっていたのに。これはこれで肩透かしを食らったようで釈然としないな…
そこまで考えてハッとする。
これじゃあ私、蛍に何かされるのを期待してたみたいじゃん!
も、もしかして私って自分が思うより破廉恥かも!
そう結論に達した私はもう首から上全部が真っ赤だった。
そんな私なんて全てお見通しの蛍は爽やかに言い放つ。
「こういうのも効果的なんだね。ほんとに分かりやすいなぁ。
じゃあ次は手、出しちゃうから期待しててね。ごちそうさま。」
スマートにティーカップを片付けながら蛍は帰り支度をする。
そんな蛍に唖然としながら帰宅する蛍をマンションの下まで送っていく。
本当に何もしてこなかったなぁ、と考えていると前を歩いていた蛍が振り返る。
少し耳が赤く色付いた蛍から一言。
「あの環境でキスでもしたら、僕は止められなくなってたよ。必ず押し倒してを抱いてた。
オトコはそういう生き物だから、“男の子”って油断しないでね。
今日は妄想だけで許してあげるよ。」
『…!!!』
衝撃の一言に固まる私をよそに、真っ赤な私に満足した様子の蛍はヒラヒラと手を振りながら帰っていった。最後に(僕以外は家にあげたらダメだよ)と爽やかに言い残して。
そしてエントランスに残されたのはこちらこそ妄想爆発中な1人の乙女。
(蛍が“抱く”って!!
そんな状況だったってこと!?
田中さんにも妄想で素っ裸って言われたばっかりなのに、私ったら!!
…田中さんに言われた時はびっくりしてビンタしちゃったけど、蛍に言われたら一瞬想像しちゃったじゃん。
蛍もお年頃でキス魔だけど、それ以上も、、、やめよ!
これ以上考えたら夢に出る!!)
明日の練習試合に備えて早く布団に入ったは、案の定月島との、どピンクな夢でうなされるのだった←