第5章 青の対戦と赤の対戦と強豪校
合宿所に帰って、ようやく一息つけた。
なんだかんだ言ってやっぱり烏野は落ち着く。
それを再確認した。
今日も厳重体勢でお風呂番をしてくれた蛍と大地さんにお礼を言いながらお風呂を出る。
丁度もう少しで階段に差し掛かるという所で悲鳴が聞こえた。
・・・どうやら日向たちが田中さんたちと騒いでいるらしい。
ふと気づくと風が横を通り抜けて大地さんが走って向かう後ろ姿が見えた。
蛍「なんで皆あんなに無駄な体力使うんだろ…アホくさ。」
『さぁ?青春なんじゃない?』
蛍「何それ?僕には一生分かんない思考回路。分かりたくないけど。」
『ふふふ。蛍らしいね。』
1日離れていただけなのになんだか本当に懐かしくてびっくりする。
蛍とも今日の朝まで一緒に居たのに、やっぱり一瞬でも音駒に行った自分を考えてしまったからだろうか。
時間じゃない。
心の距離が一瞬離れたのだ。
そんな罪悪感が募って胸がなんだか苦しくなった。
心の中で誰にか分からない謝罪の言葉が心に漏れ出す。
そうこうしている内に私の部屋の前に着いた。
と、同時に後ろから押されて部屋に押し込まれ、次いで蛍も入って来る。
そして部屋で立ったまま向かい合わせになった。
「髪、乾かしてあげる。風邪ひくデショ。」
『え!いや!自分でもでき「ね。乾かしてあげる。」
『…へ、へい。』
実はお風呂の外で待ってくれている蛍と大地さんの待ち時間を減らそうと、髪を乾かさなかったので髪はまだビシャビシャだ。少し寒いなと思っていたからギクリとした。
「その濡れた髪の先にはTシャツが透けて、ブラが見えるという方程式が成り立つんだよ。知ってた?」
またギクリと肩を揺らし、咄嗟に胸元を確認するが今日はまだ透けている様子はない。
そんな慌てる私の様子を見て蛍は更に意地悪な口調になる。
「水…というか濡れているもの全てに気を付けること。特にTシャツのしかも白色系は要注意。いつだって僕が守れるわけじゃないんだから。」
『守ってもらった記憶はありません!……いや、…守ってもらってるのか…な?』
「最大限守ってるデショ。…ちょっとご褒美も貰ってるけど。」
『守って…もらってるんだよなぁ』
そう再確認しチラッと蛍を見る。