第1章 壱
「やっと終わったー、眠すぎ」
「黒田ちゃん次体育だよー、持久走だよー!移動してアップするよ!」
あ、この子は朝いつも元気にやってくる子。体育会系なんだよな、ヤル気だなー凄いなー
「本当、こんな寒い中走るなんてふざけてるわ。みんなでお菓子作りした方が楽しいに決まってるわよ」
そりゃそうでしょうよ、お菓子作りと持久走なんて選択肢が有れば誰でもお菓子作りするよ。
持久走と較べるならせめて同じ教科にして、種目変えるとかにしよ?
ダンスとか、バレーとかさ。
「咲、なにぼーっとしてんの!走りに行くわよ」
「…はいはい」
まったく、なんでみんな喋りながら走れるんだ。
一緒に走ってる子もそうだけどさ、
「で、咲は弟がいるのよね?私妹がいるんだけど交換しない?最近妹が憎たらしくなってきてね…って聞いてる?」
「は、はあ、きいってるよ」
聞いてるとも、ただ答えるスタミナが残ってないだけ
確かに一緒に走るとは言ったけど、喋りながら走るとは言ってない!
「咲は本当に体力がないのね、そんなんじゃあと2週走れないわよ」
「わかってる!」
やべ、今ので余計疲れた
「だったら喋らないで走る、置いてくよー」
いやいやいや、話しかけてきたのそっちじゃん?
おかしくね?ね?
「っはや、すぎ」
くそ、女の子の日とか言って見学すればよかった。
ああ、100m先に見えるあの女子の集団はなんだ。
体調不良を装って、お喋りなんかしちゃって1時間を過ごすサボリじゃないか。あなた達に頑張れとか言われても全然頑張れないからね。むしろやる気うせる。
「黒田さんあと少しー、頑張って」
「咲ちゃんがんばれー!」
だから、やる気失せるんだって。
しかし、ゴールが近づくにつれ足は軽くなる
「遅いぞ黒田ちゃん!遅過ぎるよ、遅過ぎて笑えちゃうよー!」
「本当に遅いわね…あと10秒で戻って来なかったらデザート没取よ!」
何なんだよ、遅い遅いって。むかつく苛々する何なのあの二人。
デザートだけは譲れません。それに何だかこっちの方が力が湧いてくるっていうかなんというか、何だこれは
怒りの力…みたいな。
あ、デザート没取は回避出来ましたよ。
10秒では無理だったけどね