第4章 ショタ兵長
「あっこれ可愛い!絶対ライラに似合う!いやだがしかし、こっちのレースも捨てがたい……」
ぶつぶつ言いながら洋服を選んでいるのは変態眼鏡もとい、ハンジ・ゾエだ。リヴァイからおつかいを頼まれて(命令されて)王都まで来た。本当は面倒くさかったけど、実験も行き詰まってたし、何より、リヴァイにはしばらく逆らえないので、嫌々来たのだが……
「よし、これにしよう!」
ハンジが手に取ったのは、薄いピンク色の、フロントの大きめのリボンが可愛いワンピース。
生地がふわふわしてて、天使みたいなライラが着ればきっと似合う。靴はワンピースと似た色合いの、シンプルなパンプスにした。
「ありがとうございました〜」
ふふふ、と上機嫌で店を出る。
ライラがこのワンピースを着て微笑んでいる姿を想像して涎を垂らすハンジの頭からは、リヴァイに頼まれたおつかいの事なんてとっくに消去されていた。
ズシャァア!!!
「ぅおおっ!?」
早く帰ろ〜♪とスキップしていたハンジの目の前で子供が勢いよく転んだ。
むく、と起き上がると、うわああんと大声で泣き出した。右膝からは血が出ている。
「あちゃ〜痛そ〜」
ハンジは子供に近付くと、ポケットからぐしゃぐしゃのハンカチを取り出して膝に巻いた。
「痛いの痛いのヅラヴィンに飛んでけ〜♪」
「…………あ……」
ひっくひっく、としゃっくりを上げながらハンジの肩を指さす。
「じゆうの、つばさ……」
「あ、私、調査兵団だから☆」
「!?そうなの!?すごい!!!」
「君、調査兵団に入りたいの?」
「うん!」
「じゃあ、こんな事で泣いちゃ駄目だよ。もっと強くならなくちゃ」
そう言うと、目をごしごし擦ってすくっと立つ。
「うん!ぼく、つよくなるよ!おねえさん、ありがとう!ばいばいっ!!」
「ばいは~い」
手を降って元気に走り去っていった。
ふっ、と笑って走り去った子供から視線を外す。
「子供って忙しいねぇ、走ったり転んだり泣いたり笑ったり……でも、それぐらい元気な方が可愛くていi」
そこでハッとなった。
ひ・ら・め・い・た☆