第1章 [化け物]
家が原形をとどめていない。
お母さんがいない。外にでた様子がない。
私は必死に瓦礫を退けた。
「ドォン...」
不吉な音が響いた。
顔をあげると、
巨人がいた。
「巨人...もうここまで来てるの!?」
「...げて...」
お母さんの声がした。
「お母さん!今助けるから!」
「...シーラ...生きて...
早く逃げて...
お父さんとお母さんのぶんまで...」
「嫌だ!絶対助けるから...
お母さんまでいなくならないで...?」
「だ...め
お母さんは...走れない。」
「担いで逃げるよっ!!!!!!」
「化け物だから...って
船に乗せてもらえない...
二人とも...死ぬ
だから...シーラだけでも...!」
「でも」
私が躊躇っていると、
「早く!!!!」
怒鳴られた。
「...わかった...
今までありがとう...
...」
私は逃げた。
船着き場に行けば、内地に行ける。
化け物だから、乗せてもらえるか不安だったけど
混乱しているのか、乗せてもらえた。
...結局、お母さんに謝れ無かった。
私が...巨人に食われるギリギリまで瓦礫を退けて
お母さんを担いでここにいればよかったかも知れない。
間に合ったかも知れない。
だって吸血鬼の末裔だ。無駄に力はある。
私のせいだ。
私のせいで、お母さんは...
巨人に食われたの。
巨人が瓦礫を退けてお母さんを食べるところを私は見た。
あのとき、私が助けていれば...
...でも、お父さんを殺したのは私?
お母さんを殺したのは私?
おばあちゃんに会えないのは私のせい?
そもそも壁の外にいけないのは私のせい?
____違う。巨人だ。
巨人が殺した。
巨人が...いろいろと奪った。
...絶対調査兵団に入って巨人を倒す。
もう、誰かを見捨てない。
もうおばあちゃんしかいないんだから。
____私は固く心に誓った。
「きゃぁぁっ!」
悲鳴が聞こえた。