第1章 [化け物]
声がした方向を見ると、少女が巨人に襲われかけていた。
もう見捨てない。絶対。
...この距離なら、向こうの岸に届く。
まだ助けられる!!
私は跳んだ。
とんだというか、ジャンプ。
吸血鬼の末裔でも飛べない。
...よし。届いた。
少女は吸血鬼巨人につかまれていた。
...まだいける!
まだ生きてる!
私は巨人の足を思い切り蹴った。
巨人は倒れた。
「うっ」
手から解放されたみたいだ。
私は言った。
「船に乗るよ!話はあと!!!!!」
私は困惑する少女を担いで船に追いついて飛び乗った。
「はぁっ...はぁ...っ
大丈夫...?」
「う、うん
あ、ありがとうっ!
あなたは、、、何者?
普通、巨人を蹴って倒せないよ?」
私は全部話した。
...吸血鬼の末裔ってことも。
なぜか、この子には話しても大丈夫___...
そう思った。
少女は黙って聞いていた。
「化け物じゃないよ。」
え?、と聞き返した。
「化け物なら、私を助けないよ!」
少女はニコッと微笑んだ。
こんな状況でも笑えるなんてすごい。
「...あ
私はニコ・フェリア。
あなたは?」
「...スカレットシーラ。」
「そっかぁ...よろしくね、シーラ!」
握手した。
今日は波瀾万丈な一日だなぁ。
絶対見捨てない。
絶対巨人を全滅させる。
そのとき、聞こえた。
「___駆逐してやる!
この世から...一匹残らず!」
この人とは気が合うかも知れないなぁ。
______こうしてわたしは二年後、訓練兵になった。
あのとき誓ったことを胸に...。