第1章 [化け物]
家に帰ってきた。お母さんは畑仕事を中断して休憩していた。
「たっだいまぁ~♪♪♪」
元気よく言った。
お父さんは調査兵団だ。
けど、外でおばあちゃんを見つけて一緒に暮らしているらしい。お母さんが言ってた。
「シーラ、今日は大事な話があるの。」
「なぁに?」
今の私なら、なんでも受け入れられる自信があった。
「お父さんは壁の外にいるって言ったよね。」
「うん。」
「お父さんは...」
お母さんは一回深呼吸して...こう言った。
「巨人に食べられたの。」
え...?
私は話が理解できなかった。
「な、何それ。おばあちゃんと暮らしているんでしょ...?」
「嘘なの。まだシーラは小さかったから...
その、ショックが大きいと思って...」
ちょっと待って。
お父さんはおばあちゃんと暮らしてないの?
巨人に食べられたってことは...
「...し、死んじゃったの...?」
私の声は震えていた。
「シーラには生きてほしい。
...だから、調査兵団はやめて...?」
ねぇ、お母さん。
私、調査兵団になりたいって言ったら喜んでくれたよね。
あれは嘘だったの?
「騙してごめんね」
気がついたらこう言っていた。
「お母さんの嘘つき!
私は何が何でも調査兵団に入るから!
お母さんなんて知らない!」
そう言って家を飛び出した。